新潟市の大雨・雪害で火災保険は使えるか——損保代理店6年のプロが教える「使える保険・使えない保険」

更新日:2026.10.26
新潟市の大雨や雪害で、火災保険は使えるのでしょうか。結論は「補償に入っていれば使える。ただし、原因と条件によって使える保険が変わる」です。水害は水災補償、雪の被害は雪災補償、地震による液状化は地震保険と、対象が分かれています。この記事では、損害保険代理店として6年の経験と、自宅が被災した実体験をもとに、「使える保険・使えない保険」を整理します。
✍️ この記事の執筆者について
NoTown代表(新潟市西区・東青山)
建築業界20年・不動産業界10年・損害保険販売6年の経験を持つ新潟市の専門家。二級建築士・宅地建物取引士・FP・損保代理店の資格を保有。自宅が地震で被災した際の保険申請も実体験として経験しています。2026年7月の大雨でも現地確認を実施した新潟市の防災と不動産のプロです。

新潟市の大雨・雪害で実際に使える保険の種類

新潟市で起こる自然災害は、大雨による浸水、大雪、融雪洪水、地震による液状化など、原因が多岐にわたります。保険は、原因ごとに使えるものが違います。まず、全体像を整理します。

火災保険(建物)の水災補償
台風や大雨による洪水・融雪洪水・高潮などで、建物が浸水した場合の補償です。契約で水災補償を付けている場合にのみ使えます。

火災保険(建物)の雪災・風災・雹災補償
雪の重みによる屋根の損壊や、落雪・雪崩による破損など、雪による建物の損害を補償します。多くの火災保険に含まれていますが、契約によって条件が異なります。

火災保険(家財)
建物とは別の契約です。家具・家電・衣類などが浸水や雪害で壊れた場合の補償で、建物の契約だけでは家財は補償されません。

地震保険
地震・噴火・津波が原因の損害を補償します。液状化による建物の傾きや沈下も対象です。火災保険の水災補償や雪災補償では補償されません。

公的な支援として、被災者生活再建支援制度(最大300万円)もあります。制度の概要と申請の流れは、2026年7月の新潟市大雨浸水——あなたの家の保険は使えるかで解説しています。

水災補償が使えるケース・使えないケース

水災補償は、浸水の「深さ」と「損害の大きさ」で支払いの可否が決まります。2026年7月26日の新潟市の大雨(6時間雨量89.5mm)では、20棟以上の住宅で浸水が発生しました。同じ水害でも、使えるかどうかは次の条件で分かれます。

■ 使えるケース
床上浸水が生じた場合。地盤面から45cmを超える浸水損害が生じた場合。建物の再調達価額の30%以上の損害が生じた場合。いずれも、水災補償を付けた契約が前提です。

■ 使えないケース
床下浸水のみの場合(原則対象外)。契約で水災補償を外している場合。津波による損害(地震保険の対象)。

春先の融雪洪水による浸水も、水災補償の対象になるのが一般的です。夏の大雨だけでなく、雪解けの時期の浸水にも、水災補償の有無が結果を分けます。

一般的な住宅の床の高さは、地盤面からおおむね40〜50cmです。そのため、床下浸水であっても、地盤面から45cmを超える浸水損害に該当する場合は、対象になりえます。判断は契約内容と損害の状況によって決まるため、被害を受けたら、自己判断せずに保険会社へ確認してください。

水災補償は、立地によって「必要ない」と判断し、外している契約も少なくありません。外していても、床上浸水の被害が出たときに保険金は支払われません。保険証券で、水災補償が付いているかを今すぐ確認してください。

雪害(雪災)補償の条件と注意点

雪の被害は、水害と違って、毎年のように起こります。雪災補償の対象になるのは、主に次のようなケースです。

雪の重みによる損壊
積雪で屋根が変形・損壊した場合や、カーポート・物置・フェンスが雪で倒壊した場合などが対象になりえます。

落雪・雪崩による破損
屋根から落ちた雪で外壁・窓・雨樋が壊れた場合や、雪崩で建物が損傷した場合が対象です。

対象にならない主なケース
経年劣化による損傷、雪下ろし中の作業ミスによる破損、人のケガ(別の保険が必要)、契約に含まれない付属物などです。

なお、雪下ろしを業者に依頼した費用そのものは、多くの契約で補償の対象外です。新潟市で雪の多い年に備えるなら、屋根の雪を早めに下ろして被害を防ぐことと、損害が出たときに備えて補償内容を把握しておくことの両方が必要です。

雪災補償には、契約によって免責金額(自己負担額)や、損害額の下限が設けられていることがあります。少額の修理では、保険金が支払われない場合があるため、契約内容の確認が欠かせません。

⚠️ 注意
保険金の請求には期限があります。保険法では、保険金を請求できる権利は、事故の発生から3年で時効になります。雪害は「いつ傷んだのか」が分かりにくいため、被害に気づいたら、早めに保険会社か代理店に連絡してください。

新潟市で実際に起きた雪害の実例は、新潟市で大雪が降ったらどうなる?2021年・2025年の被害を振り返るで解説しています。

保険申請の正しい手順——証拠写真・罹災証明書の取り方

私自身、自宅が地震で被災したとき、保険の申請を経験しました。そこで痛感したのは、被害の証明が十分でないと、本来受け取れるはずの保険金が減ってしまうということです。申請は、次の順番で進めてください。

①応急処置と、費用の記録
被害の拡大を防ぐための最低限の処置を行い、かかった費用の領収書は必ず保管します。

②証拠写真を撮る
建物の全体、被害箇所の近接、浸水の高さが分かる写真を撮ります。雪害は、雪が融けると証拠が消えてしまうため、融ける前に撮影します。

③保険会社・代理店に連絡する
被害に気づいたら、早めに連絡します。連絡が遅れるほど、被害の原因の証明が難しくなります。

④罹災証明書を取得する
市区町村の窓口で申請します。被害は、全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊・一部損壊に区分されます。保険や公的支援の手続きで必要になります。

⑤修理業者の見積書を準備する
査定の前に工事を始めず、まず見積書を取得して、保険会社に提出します。

📌 ポイント
写真は「日付が分かる形で」「全体→被害箇所の順に」撮るのが基本です。罹災証明書と写真の2つが揃っていれば、保険金の請求も、公的支援の申請もスムーズに進みます。

火災保険の見直しのタイミング

火災保険は、一度加入するとそのままにしている方が少なくありません。しかし、災害が起きてから「補償に入っていなかった」と気づいても、遅いのです。次のタイミングで、必ず見直してください。

①更新時期
火災保険の契約期間は、現在は最長5年です。更新のたびに、補償内容と保険料を見直す機会になります。

②大雨・大雪のあと
2026年7月の大雨のように、近隣で被害が出たときは、水災補償の有無を確認する良い機会です。

③リフォーム・増改築のあと
建物の価値や構造が変わるため、保険金額の見直しが必要です。

④住まハザでリスクが分かったとき
住まハザで「川の氾濫」「大雨による浸水」「海抜」のスコアを確認し、水災補償の必要性を判断します。

⑤地震保険の加入状況を確認するとき
液状化の被害は、地震保険でしか補償されません。火災保険だけで安心せず、地震保険の有無を確認してください。

NoTownは、あいおいニッセイ同和損保の代理店です。二級建築士・宅地建物取引士・FPの資格も持ち、建物の状態と立地のリスクの両方を踏まえて、補償が過不足のない保険を一緒に考えます。

まとめ——大雨・雪害に備える火災保険の確認ポイント

✅ この記事のまとめ
・水害は水災補償、雪の被害は雪災補償、液状化は地震保険と、対象の保険が異なる
・水災補償は、床上浸水・地盤面から45cm超・再調達価額の30%以上で使える。床下浸水のみは原則対象外
・雪災補償は、雪の重み・落雪・雪崩が対象。免責金額と、経年劣化は対象外であることに注意
・保険金の請求は、事故から3年で時効。写真と罹災証明書を早めに準備する
・更新・災害の後・リフォーム後に、補償内容を見直す

まずは保険証券を手元に用意して、「水災補償」「雪災補償」「地震保険」の3つが付いているかを確認してください。内容が分からないときは、遠慮なくご相談ください。

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※補償の内容・免責金額・支払条件は、保険会社や契約によって異なります。実際の請求にあたっては、ご契約の保険証券・約款をご確認ください。